不動産売却体験談②~買取不向きな不動産の売却~

   

不動産売却体験談②~買取不向きな不動産の売却~

不動産価格

ある日、親しい関係者からマンションを売却したい人がいる、とお客様を紹介していただきました。

 

そのお客様はお医者様ご夫婦で、大手ハウスメーカーで建てた立派な家に住んでいらっしゃいました。

 

お話を伺うと、どうやら今の一戸建てに引っ越す前のマンションについて

売却を検討しているということでした。

 

マンションの概要は以下の通りです。

  • 築年数:平成元年築
  • 分譲会社:大手不動産会社旧分譲
  • 管理会社:大手不動産会社の管理会社
  • 建物の広さ:150㎡4LDKタイプ
  • 管理費修繕積立金の合計:5万円以上
  • 室内の状況:給湯器・トイレ・エアコン・壁紙は5年前一度リフォーム済み、キッチンや浴室、フローリングや建具等は新築時からリフォームしていない
  • マンション相場:2年前に同じような広さのタイプが5,500万円で成約済み

 

空き家にしておくと固定費(管理費・修繕積立金・固定資産税など)がもったいないので、早く動かなければとは思っていたが、引っ越しの際に処分しきれなかった家財道具や不用品などの整理が出来ず、その整理をしてから売却しよう。。

 

いつのまにか時は過ぎ、1年が経ってしまったようです。

 

不動産売却時ネックになる「家の片付け」

家の片付け

このように、不動産を売却する上で二の足を踏んでしまう理由の一つに

「家の片づけ」があります。

 

不動産を査定する為には部屋の中を見せなければならず、片づけてからでないと見せられない。

 

そう思っているお客様は多く、

不動産の売却について最初にネックになるのがこの「片付け」です。

 

その他にも、最初の一歩を踏み出す足かせとなる事柄をまとめてみました。

  • 売却の査定を依頼すると営業の電話がたくさんくるかもしれない
  • 人が見に来るのが億劫
  • 極端に安くなってしまったらどうしよう
  • 手続きなど分からないことが多すぎて何から手を付けていいか分からない
  • どこの会社に依頼すればいいか分からない
  • 借り入れが残っているから売れないかもしれない
  • 引っ越し先が見つかっていないので動けない

 

ほとんどの人が初めての体験なので、なかなか気持ちと行動が前に進みません。

 

購入についてはお友達や会社の同僚、親族などに相談しやすいのですが、

不動産の売却については、すべての人が前向きな売却動機では無い為、

何となく知り合いにも聞きづらく、自分の事も言いづらく、誰にも相談出来ないことも

売却する人たちを悩ませる要因になっているようです。

 

今回のお医者様ご夫婦も、片付けの億劫さや、どこに頼んだらいいか、等の理由から

引っ越し後ずっとそのままにしてしまったそうです。

 

ご縁で私が売却活動を行うことになり、まずは査定をし、一般顧客向け(買取以外)に販売活動をスタートしました。

 

この不動産のネックは、広すぎてランニングコストがかかり、購入希望者の層が極端に少ないことです。

 

都心の一等地などであれば富裕層のお客様も多く、それほど難しくない案件ですが、少し離れた郊外の物件だったので、お客様からの問い合わせは少なく、販売活動は難航しました。

 

売主様は1年もそのままにしていたので、今更焦っても仕方がないと、最初のうちはのんびり構えていました。

 

しかし、3か月たったある日、いつものように販売活動の報告をしに伺ったのですが、

その日は今までにないくらいピリッとした空気で、こうおっしゃいました。

 

「一生懸命やってくれているのは分かる。ただ、こうも売れないとこちらも困る。

後1か月で売ってほしい。」

 

理由は、不動産売却時の損益通算でした。

 

実は今回の不動産以外にも所有していた不動産があり、その不動産は売却してかなりの利益がでたそうです。

 

今回の不動産はバブル期に購入している為、当時の購入金額と比べると大きく損をしており、利益がでた不動産と損益通算ができるのです。

 

今年中に売却しなければ、その損益通算が出来なくなります。

 

急な話でびっくりしました。

お客様とのコミュニケーション不足です。

 

買取不向きな不動産の売却

急遽、期限がある売却なので、不動産会社に買取の見積もりをだしてもらうことにしました。

 

しかし、前回お伝えしたように、買取出来る不動産には向き不向きがあります。

今回の不動産は広すぎてリフォーム費用もランニングコストも高い。

しかも再販売価格も高額になり、需要が少なくリノベーション後もいつ売れるか分からない。

 

買取には不向きな物件だった為、最低ラインの金額にすら届きませんでした。

 

一般顧客向けに売却する場合、一番のデメリットはいつ売れるか分からないことです。

今回不動産買取業者への売却が難しくなってしまったので

価格を変更し、再度販売活動を行うことをご提案しました。

 

ただ、後一か月。。時間がありません。

 

多少価格を下げただけでは流動性の低い不動産は動きません。

 

思い切って1,000万円下げる、という方法もご提案しました。

価格を下げて売った場合、割安に売り出した事例がデータとして残ってしまいます。

 

売主様は、安く売り出した事例がデータとして残ってしまうと、同じマンションの所有者が将来販売する際に、価値が下がってしまい迷惑がかかってしまう。

 

そのことを懸念して大幅な価格変更は出来ませんでした。

 

ここで今回のポイントと売主様の状況をもう一度整理してみます。

  1. 一見のんびりしているようだが、実は売却には期限があった
  2. 売却しなくても生活には困らないが、損益通算が使えないとかなりの損をする
  3. 築年数は20年以上経っているが、すべてをリフォームしているわけではない
  4. 既に引っ越しはしているが近隣住民への配慮が強い
  5. バブル期に建てられたマンションは作りは立派だが売却に苦労するケースがある

 

 

安く売ることが同じマンションの人に迷惑をかける。

マンション内の人に迷惑をかけないように。

 

それをヒントに、逆に同じマンションの人にだけ特別価格で売却する、という方法はどう

だろう、と考えました。

 

マンション内の方のみの限定情報という形で、今までの経緯(税金で取られるくらいなら、このマンションの良さを知っている方に、安くお譲りしたい)と特別値引に応じる旨の手紙を売主様に書いていただきました。

 

その手紙を月曜日と金曜日の2回マンションのポストに投函し、土日にオープンルーム(現地販売会)を行いました。

 

その結果。。

 

このマンションに住んでいるご両親から手紙の内容を聞き、興味を持って見に来てくれた若いお嬢様夫婦に買っていただくことが出来ました。

 

ご両親もそのご夫婦も、マンションの価値をよく理解していた為、とても喜んでいただき、値引の金額に恐縮していましたが、売主様も買取金額以上の価格で、大切に住んでいただけるお客様を見つけられ、期限内に売却でき、喜んでいただけました。

 

不動産の売却は、物件知識だけでは良い取引にならない

不動産の売却は、その物件のことを知るだけでは良い取引にはなりません。

売主様の背景や不動産に対する思い入れ、愛着、売却動機を理解し、しっかりとコミュニケーションをとらなければ良いご提案は出来ないことを改めて感じました。


今回の取引事例の経緯・おさらい

  1. 専有面積が広くランニングコストも高い、そして高額な為購入希望者の層が少ない物件だったこと
  2. 売却が期限付きということに後から気づき、イレギュラーな販売活動を行ったこと
  3. 急いで売却する為買取業者に頼ったが、不向きな物件だった為条件が合わなかったこと
  4. 早く売る為に相場より安くしてもいいが、買取金額までは下げられない。という事情がある不動産は意外多いこと
  5. 売主様との二人三脚がこの成約に結び付いたこと
  6. 売却動機をしっかりと把握し、専門家(今回は税理士)の協力を得ながら進めることが大切
  7. 同一マンション内にも潜在的な顧客は存在すること

 

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