不動産売却体験談③~再建築不可の物件を再建築可能な不動産に~

   

不動産売却体験談③~再建築不可の物件を再建築可能な不動産に~

あれは寒い日の朝でした。

ハウスメーカーの担当者から、ご自宅の売却を検討しているお客様を紹介していただきました。

 

そのお客様は、今住んでいる自宅を売却し、親の介護の為関西にある実家の近くに引っ越したいというご相談でした。

 

ご夫婦二人住まいで仕事もリタイアし、お子様二人は既に結婚して家庭を持ったので、介護に専念しようという話になったそうです。

 

細かくお話を伺うと、既に住み替え先の土地を契約済みで、建物のプランをこれから立てようという段階でした。

 

売却予定の不動産は以下の通りです。

  • 築年数:平成5年築(新築時4棟の現場のうち1棟を建売住宅として購入)
  • 土地:80㎡
  • 建物:80㎡の2階建て3LDK
  • 駐車場;地下車庫タイプ
  • 権利関係:所有権
  • 前面道路:私道
  • 室内の状況:トイレ・浴室・壁紙は5年前にリフォーム済み、全体的に綺麗に丁寧に使用
  • 建物外回りの状況:屋根・外壁共に一度メンテナンス済み

 

土地建物がそれほど大きくない為総額が張らず、近隣の取引事例からすると小さめな一戸建てで駐車場付きという物件はあまりなく、適正な価格であればあまり時間がかからず売却出来そうな物件です。

 

物件調査をしてみると、、

一通り室内と外回りを確認し、後日査定報告のお約束をして

その日はそのまま役所に前面道路や用途地域、インフラ関係の調査に行きました。

 

すると、当初の建築計画と現在の接道義務に問題があることが分かりました。

・新築当時は4棟の住宅ではなく、1棟の長屋(集合住宅の一形態)として建築を計画(建築確認申請)していた。

・役所の審査を通過した後、4棟の新築住宅として計画変更(意図的?)し建築された可能性が高い。

・一戸建て住宅は、各住戸それぞれが建築基準法上の道路に2m以上接していないと建築出来ない。

当時は長屋1棟としての申請だったので建築確認申請は通ったが、実際に建築されたのは4棟の新築住宅だった。

その為完成した新築4棟はそれぞれ接道義務を果たしておらず

再建築不可物件となってしまった。

 

 

再建築不可物件の問題、売主様自身も気づいていない

再建築が出来ない不動産の売却はとても難しく、大きな課題がいくつかあります。

  • 建物が古くなっても既存の建物を解体し、建て替える事が出来ない(リフォームならOK)
  • 住宅ローンが利用できない

 

再建築が出来ない不動産はこのような大きなマイナス点がある為、一般的には通常の不動産の半分以下の価値になってしまいます。

 

 

 

お客様は周辺の不動産の広告などを参考に、何となく売れるであろう金額を予想していました。

 

その予想金額を基に、実家近くの土地を買ってしまっていたのです。

 

もし自宅の価値が予想の金額の半分以下になってしまったら、、

 

既に購入した土地代は何とか工面できたとしても、建物を建てるお金が足りません。

 

早くこのことを伝え、今後の進め方の打ち合わせをしなくては、と思い

査定報告の日程を早め、次の日その調査結果をご報告に伺いました。

 

報告することをためらいましたが、前に進むには現状を理解して頂き、次の展開を一緒に考えていかなければなりません。

 

 

お客様は動揺し、ショックを隠しきれませんでした。

 

現実を受け入れて頂くのに時間はかかりましたが、当時のお話を伺っていくうちに

お客様ご自身もだんだん冷静になり、現状を理解して頂けました。

 

 

売主様の現時点での選択肢は以下の通りです。

・再建築不可のまま売却⇒足りない建物代金は融資や親族から工面

・自宅は売らずに賃貸にする⇒上と同じ

・売るのをやめる⇒実家近くの土地も解約(違約金発生)

 

どの選択肢も心情的には受け入れたくありません。

新築当時、再建築は出来ないと説明を受けていた訳ではないので

余計にショックだったと思います。

 

 

再建築不可物件はどうすれば良いのか

再建築不可になってしまった原因は新築時の建築確認申請の進め方にあります。

 

役所や測量士、建築業をやっている知り合い等に相談した結果、

 

近隣の方の協力を得られれば、再建築が可能になるかもしれないことが分かりました。

 

但し、そこにもいくつか課題があります。

・建物の前面の空地部分を「43条但し書き」通路として役所に許可してもらう

・本地・空地の確定測量

・隣地所有者5名の署名と実印押印、印鑑証明添付

※「43条但し書き」通路とは「建築基準法上の道路ではないが、条件次第では再建築の許可を得られる土地(通路)のことです。

 

 

 

流れはこうです。

 

 

役所に事前相談(建物を再建築する際に、前面の空地部分を「但し書き」通路部分として認めてもらえるかどうか)

測量士と打ち合わせし仮測量を行う

(本空地が「但し書き」通路としての適用要件をクリアしているかどうか調べる為)

ハウスメーカーや工務店等に再建築プランを作成してもらう

仮測量図・再建築の建物プランを持参し再度役所に相談

「但し書き」通路の適用要件をクリアしたら、確定測量・近隣住民への説明

但し書き申請に必要な書類に実印を押印、印鑑証明書を添付してもらい役所へ許可申請を提出

 

こうして、再建築不可能な物件を再建築が可能な一般的な不動産に変えるべく、

お客様の希望に近い金額で売却する為の準備が始まりました。

 

再建築不可物件はどうなったか

今回不幸中の幸いだった点は

・仮測量した結果、前面の空地が「但し書き」通路の申請要件をほぼ満たしていたこと

・協力が必要な5件の隣地の方のうち3件が、同じように今のままでは再建築不可なので、

前面空地の「但し書き」通路申請はその隣地の方たちにとっても有益だったこと

 

 

進めていく中でいくつか課題がありましたが、半年かけてすべてが整い、売却出来る状態になりました。

 

その後通常の販売活動を経て若いご夫婦に買って頂き、無事に取引を終え、売主様はご実家近くの新居へお引越しが出来ました。

 

 

売主様のお人柄もあり、近隣の方との関係が良好だったため、

皆様にご協力をいただきながら進められた取引でした。

 


今回の取引事例のおさらい・教訓

  • 不動産の売却は現地調査・役所調査がとても大切
  • 買換えでの住み替えはお金が必要なタイミング、資金の流れ等をしっかり把握し、適切なアドバイスが大事
  • 現状再建築不可だからといって諦めず、様々な可能性を探り、一番いい条件での売却を考え、実行してみること
  • 取引まで時間がかかっても粘り強く、根気強く取り組むこと
  • 売主様と信頼関係を築き、二人三脚で前向きに進める
  • 訪問査定に行く前に役所調査を先に行っておくこと

(より精度の高い提案がその場で出来る為)


 

コメントを残す

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。